勤め先のビニールハウスの近くで、ちょっとした事件がありました。
現在、勤めている会社の農業グループの一員である、キュウリ栽培を生業とするご主人がハウスの中で首をつって自殺しました。まだ30歳ちょっとで妻も子供もいる方でした。自殺する前の日に、うちの社長にキュウリの販売を依頼したのですが、うまくいかなかったみたいです。
自分は首つり自殺にかかわったのはこれで三度目です。この事件の前は、全然知らない一度も会ったことのない近所の人です。その前は、自分が最初の首つり自殺を目撃したことになる父親の自殺でした。もう25年くらい前の話になります。
父親の自殺は我が家の汚点で、恥ずかしくて殆ど誰にも話してはいません。妻にも話していません。しかし、思うことがありブログに書いてみます。
父親が自殺する前の日の夜中に自分のアパートの電話が鳴りました。父親は「明日、来れるか?」という電話でした。自分は「明日なんか行けねえよ!」とつっけんどんに断ったら「そうか。」と一言だけ言って電話を切りました。おかしいな変な声だなと思いましたが、今思えば自殺決行の真っ最中だったのだと思います。
最初は風呂場にガス管を引き込んでガス自殺を図ろうとしたようです。窓とかにガムテープで目張りしてあり床には布団が敷いてありました。これでは死にきれず自分に電話してから今度は納屋でロープを吊るして首をかけたのです。
自分も胸騒ぎがして次の朝に実家に行ってみたところ、いるはずの父親がいないので探したら、母屋から離れた納屋で首をつって死んでいました。
最初見たときは「こんなことをしやがって・・・・」と怒りしか感じませんでした。でもロープで吊るされた父親を下から見ていると、どす黒いベロを出して目を半場開いている姿がかわいそうで、吊るさられていたロープをかまで切って納屋から抱えて母屋の和室に寝かせました。本当は自殺の現場はそのままにしておかないといけないのですが・・・・
自分はこのことが自分の生涯で一番悲しかった出来事のような気がします。父親に反発してろくに口も利かず、父親が病気になぅても親孝行の一つもしないで、自分のことしか考えられない大馬鹿な息子でした。
父親は病気を苦に自殺したのです。父親はひとえに不幸を背負ってきた人生でした。父親は15歳の時に自分のおやじに死なれ、父親の母や兄弟の面倒をみるために身を粉にして働きましたが貧乏でした。
やがては連れ合いの妻にも死なれ、まだ、当時、幼稚園児の弟を男で一つで育てたのです。挙句の果てに働きすぎで無理がたたって病気になってしまいました。父親は生きてきても何もいいことがなかったんじゃないかとさえ思います。
こんな父親を自分は毛嫌いし腫物のように扱い、父親が弱ったときに何もしてやらなくて、やさしい言葉の一つもかけないで、あんな死に方をさせてしまった人間の心を持たない悪魔です。自分が愚かで嫌で仕方がありません。
今の社会はおかしいですね。本物の人間を擬人化されたゲームのキャラクターのように親殺し、子殺し、虐待など、現代は身内での殺傷事件が多すぎます。人間である以上感情は変化するものであり鬼にもなり哀れみを持つ神にもなります。感謝する心や思いやりを失ったら本能だけに生きる肉食動物になってしまいます。肝に銘じて気を付けましょう。